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「え、まじ?」 俺が暗部の任務で里を出ていた間になんか色々大変なことがあったらしい。 「って、なんでお前が知らねえんだよ。イルカんとこに飯食いに行かなかったのか?大怪我したっつってももう退院してんだぜ?」 今回共に上忍師になるアスマが煙草を吸いながら呆れた顔で聞いてきた。 「あのね、俺は色々と忙しいの。アスマと同じにしないでくれる?」 「ふーん。」 アスマはにやにやと笑っている。くそっ、こいつにはイルカのことで色々と相談してるからなあ、やっぱ気付くかよ。あーあ、もう、俺人選間違ったかなあ...。 「ま、何があったか知らねえが、今回はイルカの担任してたガキ共の試験だ。力入れてくぞ。」 「解ってるってのっ。」 俺はむくれながらも同意した。別に今まで数回あたった下忍試験に手を抜いていたわけじゃないけど、イルカの受け持っていたクラスの子どもが相手と思えば力が入る。 「カカシ、」 火影だった。 「はいはい、なんですか?ちょっと今から俺忙しいんですけど。」 「そんなのは解っとるわい。いいからついて来い。」 解ってないじゃん、と口の中で悪態をついたが火影命令じゃ従わないわけにはいかない。俺は渋々火影の後に付いていった。 「お前らの第一印象はぁ、嫌いだ。」 黒板消しを頭に受けて粉まみれのままの頭で、俺はガキどもにしっかり八つ当たりを済ませた後、自己紹介をするべく外庭へと向かった。そこで自己紹介をしてもらうのだ。 「好きなのはカップラーメン、もっと好きなものはイルカ先生におごってもらった一楽のラーメン!!」 へえ、イルカ、ナルトにあそこのラーメンおごってやったりしてたんだ。イルカの名前が出てきたことに少しだけ心が和んだ。 「野望はある。一族の復興と、ある男を必ず殺すことだ。」 サスケの言葉に俺は心の中でため息をついた。復讐か、なまじ兄弟ならば憎しみも人一倍ってところか...。 「好きな人はぁ...、将来の夢はぁ...。」 と、ちらちらと隣にいるサスケに意味ありげな視線を送っているサクラには、心が和む云々以前に少々不安になったが、まあ、年頃の女の子ってのはこんなもんなのかねぇ。 ...そして結果、俺は合格を言い渡した。 「さーて帰るかぁ。」 と、お約束のようにナルトを置いて帰るしたふりをして、戻ってナルトの縄をほどいてやった。ナルトはむくれていた。ギャグの解らない奴だね。ってかちゃんと手加減して縄で縛り付けたんだからちゃんと自分で縄抜けしようよ。 「へへっ、俺ってばイルカ先生に報告に行っちゃおうっと。」 俺はその言葉にぴくんと反応した。こいつ、昨日の発言と言い、この態度と言い、イルカを特別視してるな。ふふん、ま、俺の気持ちに比べれば雲泥の差に違いないだろうがね〜。 「へっへー、合格したお祝いにイルカ先生にラーメンおごってもらっちゃおっかなー。」 「イルカ先生っていつもラーメンおごってくれんの?」 俺は興味なさげに他に話題がなかったから仕方なく聞いてやってます、といった具合の口調で聞いた。 「うーん、いつもじゃないな、俺がすっげえ怒られたときとか、あとはすっげえがんばっちゃった時かなっ!」 すっげえすっげえばっかり連呼してもっと他にボキャブラリーってもんがないのかね君、と思ったが口にはしなかった。ま、なんとも抽象的だが、なんとなくわかったよ。 「サスケやサクラもイルカ先生にラーメンおごってもらったことあるのか?」 「私はないわよ。家に帰ったらご飯があるし、間食にラーメン一杯って結構なカロリーなのよ?女の子がそんなの食べてたらすごいことになっちゃうじゃない。」 ふうん、すごいことになっちゃうのかあ。俺はサスケに視線を投げかけた。サスケはちっ、と舌打ちして言った。 「何度かある。飯の買い物の途中で会ってそのまま食いに誘われたのがほとんどだ。」 確か今でもうちはの居住区に1人で住んでいると聞いている。一族を惨殺されたあの場所でたった1人。イルカはきっと誘わずにはいられなかったんだろうなあ。 「でもラーメンばっかじゃ飽きないか?」 俺が言うとナルトはぜんっぜんっ!と息を巻いて豪語する。 「カカシ先生、一楽のラーメン食ったことないの?あれってば一度食ったらやみつきになるてばよっ!!」 ナルトの目がきらきら輝いている。うん、解るからね、大体イルカにあの店教えたの俺だからね? 「はじめまして、あなたがはたけ上忍ですね。火影様からお話は伺っています。こいつら、ちょっとくせはありますが優秀な子たちです。ビシビシ指導してやって下さい。」 イルカはにこっと笑った。 「えっと、」 俺が戸惑っていると、何を勘違いしたのか、イルカは背筋を伸ばした。 「あ、すみません、上忍の方に馴れ馴れしかったですね。あ、俺名前も言ってなかった。俺、いや、私はうみのイルカと言います。アカデミーでこいつらの担任をしてまして、ナルトは特にいたずらばっかりしてて、今回の試験も1人で馬鹿やったりしてなかったですか?」 イルカはそう言ってナルトの頭を小突いた。うわ、なんかすごい親しげだな。まるで親子みたいだよ。ってそんな場合じゃないって!! |